営業に配属されて間もない頃から、自分の力で店頭マーケティングを企画し、実施し、反省させる。担当の重要小売店の売上責任(ギャップ埋め対策の責任)を持たせる。新人をそういう逃げられない立場に立たせることはたいへん重要である。

中央で立てたマーケティング戦略がどのようにエリアの重要小売店に及んでくるか、その結果がどうなるか、自社のブランドで現場体験する。競合メーカーの打つ手も、仕掛けの始めから終わりまで現場で目の当りにする。インストア・シェアの変化も見る。

これらエリアマーケティングの実戦を自分の目でとらえ、自分の身体で感じる営業マンは、将来、有望なプロダクトマネジャー候補になる。自分が担当する重要小売店で最終購入決定の壁を超えていく売場争奪、顧客争奪の実戦をPlan→Do→Seeする体験は、格好のプロダクトマネジャー育成のリアルプロジェクト・トレーニングになる。

彼ら新人営業マンに、通信教育と集合教育でプロダクトマネジャー養成講座を受講させ、マーケティングの基礎と応用、マネジメントの基礎と応用をしっかり教育しておくならば、この一連のリアルプロジェクト・トレーニングは一層効果のあがるものになる。

国内の営業のOJTの質を変え、日々の営業活動の密度を濃くする営業力強化の施策こそは、国際的に通用するマーケティング・リーダーの育成プログラムになる。彼らをまず、リージョン駐在のブランドマネジャーに育てるとよい。その間、彼らに英語を勉強させる。本社のマーケティング部へ移し、やがて海外に出す。

国内の第一線営業マンの日常活動をレベルアップすることは、当期の予実一致を達成するとともに、自社ブランドのブランド・ポジショニングを確実にすることになり、国際的な人材開発競争に勝つ切札になる。

(2009年7月度MODコラム「国内営業マンのOJTの強化が国際競争力の強化の要になる」長井和久)