マーケティングができる企業というと一流の大企業をイメージしがちだが、中堅・中小企業でも十分マーケティングはできる。中堅・中小企業といえども、トップとそれを補佐するマーケティング担当者がしっかりマーケティングの体系とノルムを身につけ、自分の身に合わせて一回一回自社のマーケティングの問題解決に翻訳していけば、3年から5年の努力で十分マーケティングをこなせる企業になれる。

はじめに「何から手をつけるか」「どうしたらよいか」の課題をはっきりさせることが大切だ。この第一歩の局面打開が実務では最初の壁になる。社長の強い後押しが必要である。はじめは社長が率先してマーケティングを勉強し、課題を決めてやらねば、担当者は何をしてよいかわからず、安易な妥協をしてしまう。何年やっても商品はよくならないし、営業の動きもよくならない。

このような状況にある企業には「マーケティングの基礎と応用」「マネジメントの基礎と応用」をきちんと習得できる『プロダクトマネジャー養成講座』をお勧めしたい。トップが自ら受講する。担当者と同宿同飯し、受講する。

自社の現状に当てはめて、トップと担当者が手を携えて、マーケティングの小局面をマーケティングの基礎とマネジメントの基礎を使って、1回1回切り開いていくことが、何より堅実な出発点になる。

ナガイマーケティング研究所では、製品開発からエリアマーケティングに至るマーケティングの各段階を体系的に論理的に整理した『プロダクトマネジャー・マニュアル』をテキストにして、各段階の局面打開の実際の方法を平易に、丁寧に案内している。

マーケティングカンパニーになる堅実な第一歩は、1週間、10日間で一区切りになるマーケティングの小課題解決の手順をA4サイズ1枚の「ステップアップTODOリスト」に書き出すことから始まる。

実務としてまず必要な一つのマーケティングの小課題を1回1回小日程計画として書き出し、手分けして、実行していく。マーケティングの問題と人間関係の問題を同時に解決していく手順になるので、実行が容易になる。この小日程計画(ステップアップTODOリスト)が50枚、100枚と溜まると、それがトータル・マーケティングの正式なソリューションになる。

1枚1枚の「ステップアップTODOリスト」は、いわば本格的なマーケティングの我が社への翻訳書であり、手引書、詳細マニュアルである。1回1回の仕事の計画書にして、評価のポイントになる。振り返りをしながら磨く。枚数が増えれば、次第に仕組みになるのである。各人が自律する。これを蓄積すれば、立派なマーケティングカンパニーになれる。

(2012年4月度MODコラム「帰納法的なマーケティングのソリューション」長井和久)より