アジア主要国の国内総生産高(GDP)の2010年4月~6月期の実質成長率は8%~9%台であった。日本は0.3%。

アジアに成長の津波が起きているのは間違いない。乗り遅れると取り残される。同じアジアとはいえ、各国には各国のマーケティング環境要因があり、マーケティング戦略は個々に異なる。アフリカはもっと異なるだろう。

現地へ出ていく若手リーダーには、
①現地の消費者の心の内を聴き出し、
②市場に表われている情報を組み合わせて新しい動向(Opportunity,Problem)を感じ取り、
③現地のマーケティング課題と技術的な課題(魅力的な価格の商品を提供する)を明確にする
総合経営能力(プロデュース能力)が必要になる。
④併せて、現地対応のマネジメント能力(実行力、局面打開能力)が要る。

各社もこれらのことに気付いて、いろいろな取り組みがなされている。大半は急を要されている。

産業能率大が2010年4月に新卒で入社した18~26才の400人に聞いた調査では、「海外で働きたいと思うか」という質問に、49.0%が「働きたいとは思わない」、「国・地域によっては働きたい」が24.0%、「どんな国・地域でも働きたい」が27.0%であった。

「どんな国・地域でも働きたい」は、01年度が17.3%、04年度が24.2%、07年度が18.0%。今回10年度の27.0%が今までの最高である。米国などの先進国へは37.0%が「働きたいと思う」と答えたが、東南アジア、アフリカなどの途上国は8.5%。適当だと思う勤務期間も「1年以上3年未満」が56.4%で過半数を占めている。(朝日新聞2010年8月15日)

「海外で働く」ことを肯定する層が半数以上いるが、「日本、欧米を含めた1~3年のローテーションを考えてくれ」と言っているわけだ。

「若手人材の育成」が焦眉の問題であるが、「この1年、2年で布陣し、これを維持するという人事も同時に解決しなければならない大問題である。中国、韓国、インドとの人材開発競争になる。

(2010年9月度MODコラム「人材開発競争」長井和久)より