毎年のことなのだが、プロダクトマネジャー養成講座の最終回近くになると、「たいへんよくわかっている人のグループ」と「ようやくわかりかけた人のグループ」に、ほぼ2分してくる。

この講座に参加するにあたって、はじめから問題意識(目的意識)のしっかりしている人は、一年間の間に大きく伸びる。リアルな宿題をかかえている人は、やはり真剣に受講する。卒業したらすぐ、一つのブランドを任せてもよいくらいに伸びる人もいる。あるいは、営業マネジャーとして、もう一段大きい責任を持ってもらっても大丈夫というような人も出てくる。

わかりかけた人々も、これからの業務で製品の改良や新しい販売促進策などの実際問題解決に直面したときは、関係ある章やいろいろ意見交換した事例研究場面を思い出して、実務に役立たせることができる。多くの人々が、マニュアルを取り出して読み直しをするだろう。

いろいろ気付いて、そのあと自己啓発で伸びるということはよくある。「このままではいけない」「今、我が社はこの実際問題を解決しないことには前へ進めない」「もう一度、はじめから」と再受講される方も出てくる。ナガイマーケティング研究所は、これでよいと考えている。

せっかくマーケティングが担当できるポジションに就いたのに、機会を自分のものにできない人々がいる。これらの人々に共通しているのは「自己流」である。「責任を果たす」と「自分流でやってみたい」が心の中で葛藤している人は、まだ救われる。

「この製品改良は自分の担当の仕事である」「自分はその裁量権を与えられている」「今ここで、正攻法のマーケティングを応用し、自分の力でぜひ成果を出したい」という人は成功する。今まで勉強嫌いであった人は、ぜひここで踏みとどまって、正攻法で復習を開始してほしい。

マーケティングもマネジメントも経験の科学である。経験より導き出された原理・原則の体系である。歴史的な成功や失敗から導き出された原理・原則を無視すると、原理の場合100%、原則の場合99%失敗する。原理・原則を軽く見るのは、あまりにも危険である。

「プロダクトマネジャー養成講座」に新しく参加される方、続いて後輩を派遣される方は、ぜひ自分の目的(実際のテーマ)を決めて(決めさせて)から来てください。

(2010年4月度MODコラム「第18回プロダクトマネジャー養成講座の最終月に思うこと」長井和久)より