課題設定こそがリーダーシップ発揮の元になる。課題をはっきり設定しないと、部下とも関係者とも人間関係、仕事関係がうまくいかなくなる。

課題設定には、経営目標→部門方針→自分の今年の役割から、例えばこの四半期中にやらねばならない仕事というように、演繹的に降りてくるものがある。これは目標管理表などで自分の考えも入れて、今年の仕事を上司(会社)と契約するという形で決まる。

しかし、日常の仕事状況というのは、しょっちゅう変化する。これに対応するためには、毎日のマーケティングTODO、マネジメントTODOの積み重ねの中から帰納法的に、弾力的に今週の重点(課題)を設定する必要がある。これらの探すTODO、創るTODOの積み重ねがないと、状況の変化についていけない。はじめに決めた年間目標の演繹的課題の達成も危うくなる。

この演繹法と帰納法のやり方を統合して職場の課題を明確にし、これを活き活きと達成していくよい方法がある。それは「今の課題は何であるのか」「それでは我々は何をどうすればよいか」をワークショップ方式で話し合い、1枚の「ステップアップTODOリスト」にまとめ上げることである。

課題設定とその課題解決法の立案は、いわば小さな試練である。この小さな試練を協力して乗り切っていくと、職場は次第に活性化してくる。

試練は次々に訪れるが、大方の場合は、実は協力者がいる。個人の力だけでは遅いし、危うい。課題の明確化、課題の解決については、協力者(家族)の三人寄れば文殊の知恵を発揮することも大切だ。

一方、今までの成功例、失敗例のエッセンスの組み合わせからも大きなヒントが得られる。マーケティングの体系とノルム、マネジメントの原理原則の活用も重要である。第一、スピーディにアイディアが得られる。復習は常に重要である。

試練は大きい試練、小さい試練と次々に我々にのしかかってくる。逃げられない。逃げては前に進めない。主体性が壊れてしまう。再起不能になる。

試練は基本的に、現状肯定・過去肯定・未来肯定、自己肯定・他者肯定の大きな考えを持つ中に解決の大ヒントがある。結局、長所の発揮が決め手になる。それが幸運を呼ぶ。

(2012年5月度MODコラム「試練と課題設定」長井和久)より