どの会社にも頭の痛い問題はある。それを解決しないことには会社は発展しないのだが、その本質的な問題の由ってきたる原因が追究されないまま、全社員が一様に悩んでいるというようなことがよくある。
売上が停滞していて、今売れている商品を一生懸命拡売しても、せいぜい前年度並みの売上しか上がらない、というような状態の企業は多い。
トップが「何が原因で主力商品が売れないのか」「その根本的原因は何なのか」を解明し、意志決定しないと、トップは部下のミドルに対して「何に重点的に取り組めばよいか」「何から手をつけていくべきか」が指示できない。ミドルはいたずらにやらないよりはやったほうがよい、というような仕事に終始する。会社はだんだん暗くなる。風土も悪くなる。
トップはここで本気でやる気を出し、主力商品の売上が上がらない根本的な理由を赤裸々に明らかにすると決心をする必要がある。誰の知恵を借りてもよい。コンサルタントを使ってもよい。一人一人の社員の話を聞いて廻ってもよい。
わかった問題がどのようなつらい問題であっても、それを解決すると我が社が良くなることがわかれば、その課題(テーマ)解決には、主要なミドルや主要な社員は参画してくる。心の奥底にその問題解決をイメージし始める。
たとえ現在の問題解決能力が不足しているとしても、何とかして問題を解き明かしたいので、手のつけられるところから手をつけてくるし、勉強もする。その主要なミドルや主要な社員のベクトルが合うとき、解決策(知恵)は次第に浮き出てくる。関係者や協力企業からも前向きの提案が寄せられる。
肚を決めて真正面から取り組むしかない。苦しくても、ひるんだり逃げたりしてはならない。
(2012年10月度MODコラム「抜本的な問題に正面より取り組む」長井和久)より