速攻のマーケティングを展開するには、まず、マーケット・インの企業理念と基本目標の共有が必要になる。共有するためには、この理念や基本目標が歴史的に整理されて、明文化されている必要がある。

また、組織のインテリジェンスとは、組織の「暗黙知」を「形式知」として明文化したものである。マーケティングとODの歴史的な成功や失敗の教訓をわかりやすく文章化したものである。暗黙知の明文化(マニュアル化、テキスト化)はぜひ必要である。

暗黙知の共有には、有能な幹部社員(エース級のミドル)の現場翻訳がどうしても必要になる。このエース級のミドルの育成が、組織開発の鍵になり、知的生産性向上の鍵になる。

しかしながら、いかに丁寧に解説しても、一度に組織のメンバーにこれが伝わるということはない。結局、現場・現物・現実で人対人の対話で伝えられないと成り立たない。マーケティングの原理原則、マネジメントの原理原則について基本知識(インテリジェンス)を共有していると、このコミュニケーションは速くなる。

一方、「ステップアップTODOリスト」は職場小集団段階での、個人個人が持つアイディア(小さな暗黙知)を紡いで作る。小さな形式知の塊(集合知)になる。言葉も現場用語で書き表わすことができる。

大上段からの暗黙知の共有、研修会議よりも、ことブランド・マーケティングとエリア・マーケティングについては「ステップアップTODOリスト」による日常的で自律的な小さな知的生産のPlan → Do → Check → Actionの積み重ねのほうが、組織開発は効率的に進む。マニュアルは必要だが、これに加えて「ステップアップTODOリスト」の価値を改めて見直してみることをお勧めしたい。

(2013年2月度MODコラム「速攻のマーケティング・暗黙知の共有」長井和久)より