目的意識があいまいな人や組織は、どのようなチャンスに遭遇しても、どのような貴重な報告に出合っても、それをプラスの情報と感じる度合いが少なくなる。即ハンディを負う。鈍感企業はそのまま、鈍感でいるものだ。

状況(出来事やあり様)に向かい合うに、目の前の状況を見て、感じて、第一直感で機会なのか問題点なのかを肌でわかってしまう直感力の差が、その後のマーケティング情報の質の差と量の差になる。情報感度が低いということは、組織にとっては重大な問題になる。

情報感度の高いマーケティング部員を多数かかえている会社は、スタートの時点から有利になる。第一直感に基づいて、すぐ機会として確かめてみるTODOや、機会をキャッチするための前向きのTODOを形成し、その日のうちに実行する。そして、その日のうちに話し合う。報告をする。危険を予知すれば、危険防止のTODOを作り、すぐ危険防止のTODOを実行する。その日のうちに本質的原因調査の活動を始める。

これらの一連のTODOの早期形成と実行が、初動の力の差になる。初動力の差は、企業のマーケティング力の差に直結する。しかも、彼らがマーケティングの体系とノルム、組織開発の体系とノルム、マネジメントの基礎の知識を身につけているとするなら、あるいは、日常的に身につける訓練を受けているなら、なお、彼らのアウトプット(知的生産)の差は拡大する。

マーケティングをやるからには、そういう基礎素養のあるなしで、既に勝負は決まってしまうという恐ろしさをトップやマーケティングマネジャーはよく知っておかねばならない。日頃から備えておくのがよい。鈍感を集めて会議をしても何も生まれない。基礎力の訓練を繰り返しするのが最良の対策になる。

(MODコラム2013年4月度追加号「第一直感で勝負は決まる」長井和久)より