プロダクトマネジャー・マニュアル』を社内で共有すれば、その会社のマーケティングの知的生産性は飛躍的に向上する。3倍、4倍になるだろう。心あるトップやミドルに、「プロダクトマネジャー・マニュアル輪読会」を、自信をもってお勧めする。これ程、安価にして効率のよい、かつ、職場の活性化、組織の活性化、若手の早期育成に効果がある仕組みはないと思っている。

『プロダクトマネジャー・マニュアル』は、サニタリー市場におけるP&Gと花王とユニ・チャームのこの40年間の実戦の裏付けに基づいて著述したものであるので、架空のマーケティング話は全く出てこない。「マーケティングの三国志」である。このリアル感が、本マニュアルを学習する者の心に火を付けない筈はないと思っている。心ある者は必ず、自社のマーケティングで勝負するときに、あるいは自分自身の今後の生き方を決めるときに、繰り返し熟読し、価値ある情報(インテリジェンス)を得るだろう。単なるマーケティング実務のノウハウを集めたものではない。本マニュアルは「我が社は今後どうあるべきか」「私は何を為すべきか」の真剣な問いに真っ向から答えていく正攻法の実務教科書(テキスト)である。

輪読すると声を出す。仲間の読む声を生で聞く。これは脳を刺激する。目で文章や図表を見る。メンバー各位の感想やヒラメキを聞き、自分の感想やヒラメキを言っていると、いつの間にか主体性に目覚めてくる。少々奥手の人物も次第に心に火が付く。夢中でマーケティングと組織の活性化を勉強し、実践するようになるだろう。

既存主力商品の実際的なリニューアルポイントの発見ができる。他社製品の長所や短所の探究や組み合わせから、新しいアイディアが生まれてくる。既存領域、近接領域の新製品、新事業のコンセプトの発案がなされる。

職場のリアルプロジェクトを課題にしなくて、何を課題にするというのだろう。実務、実戦を対象とする話し合いこそ面白い。次第に熱を帯びてくる。これこそ真のマーケティングの活性化である。真の人材開発になる。

「合宿輪読会」は最高の活性化会議(マーケティングの小集団活動)になる。同宿同飯がよい。最上級の学習の機会になる。一人当たり7万円のマニュアル代と合宿費用20~30万円の投資は極めて安い。

「プロダクトマネジャー・マニュアル輪読会」のリーダーは、プロダクトマネジャー養成講座のOBかOGが担当する。現在受講中の者をリーダーにしてもよい。リーダーシップ能力をおおいに開発することができる。〔第Ⅱ章 主体性の開発〕からスタートすること。〔第Ⅰ章 マーケティング組織の開発〕を読むのは、〔第ⅩⅠ章 マーケティング・プラン〕を終えてからがよい。

(MODコラム2013年7月度特別号「心に火を付ける『プロダクトマネジャー・マニュアル輪読会』のすすめ」長井和久)より