「プロダクトマネジャー・マニュアル輪読会」を続けていると、ボトムより会社の重要施策について本格的な提案が寄せられる。心ある若手社員が本格的に経営問題を論議するようになる。意見具申してくる。

極論すれば、「プロダクトマネジャー・マニュアル輪読会」は、優れたプロダクトマネジャー候補とブランドマネジャー候補をリアルプロジェクト・トレーニングの中で育成し、互いに評価し合い、最終的に次の世代のトップ陣を互選していく、合理的な人事登用システムになる。おそらくトップ陣とミドル層のコミュニケーション、ミドルと第一線のコミュニケーションはレベルの高いものになるだろう。

「プロダクトマネジャー・マニュアル輪読会」と「新入社員インストラクター制度」を連携させると若手が急速に育つ。新入社員インストラクター(入社2,3年目)がリーダー、新入社員がメンバーの輪読会グループをつくる。インストラクターは輪読会を仕切らなければならないし、新入社員の前で恥をかきたくないので、必死で先行してプロダクトマネジャー・マニュアルを勉強するだろう。各グループの間で競争が起きる。マーケティングの小集団活動が全社的に湧き起こる。ただし、インストラクターには先行して、月2日×11ヶ月のプロダクトマネジャー養成講座を受講させておく。

もちろんトップがトータル・マーケティングとその組織開発に目覚めることが最重要である。第一線では、小集団がマーケティング活動に没頭することが、何よりのマーケティングのボトムアップ経営につながる。「プロダクトマネジャー・マニュアル輪読会」は、若手マーケター育成の穏やかな着手小局でありながら、会社の将来を確固たるものにすることができる、よい手段・方法(戦術)である。

人材開発は20年の計である。失った時間は取り戻せない。いまの今、マーケティング人材開発の第一歩を踏み出すことが大切である。

(2013年8月度MODコラム「『プロダクトマネジャー・マニュアル輪読会』によるボトムアップの組織開発」長井和久)より