2010年6月度のプロマネ養成講座において、それは始まった。19期生の中に新入社員インストラクターになる若い人がいて「担当するからには、しっかりした指導をする」と、「ステップアップTODOリスト」の作成実習のとき、全員の前で思いを込めて発表された。主体性の発揮である。

その発表が刺激になって、26年前のユニ・チャームの「新入社員インストラクター・マニュアル」を引っ張り出した。見直しているうちに、ついつい手が出てしまい、リニューアルする破目になった。

26年前には、主に営業新入社員の早期育成が課題であった。同時に、2年先輩、3年先輩に営業マネジメントの基礎研修ができないかと考えて、ある大手商社のマニュアルを参考にしてインストラクター・マニュアルを作り、何年か使用していた。

プロダクトマネジャー・マニュアル〔第Ⅲ章 マーケティング企業の人材開発〕は、マーケティング企業の新入社員インストラクター向けのインストラクター・マニュアルである。新入社員を本格的にマーケターに育成するのはどんな教育が要るか、その前にインストラクターにはどんな教育をすればよいか、という視点で書き改めることになった。

当然のことながら、プロダクトマネジャー養成課程の一環としての新入社員インストラクター制度を設けるべきということになってくる。

「プロダクトマネジャー・マニュアル」があれば、これが可能になる。「プロダクトマネジャー・マニュアル」は武器になる。

インストラクターを先に「プロダクトマネジャー・マニュアル」で教育しておけば、彼らが先生となって、マーケや営業の日常の仕事の中で新入社員のマーケティングのOJTを行なうことが可能になってくる。そのほうが先輩も面白い筈だ。

〔第Ⅱ章 主体性の開発〕の大部分は、実はマーケティング企業の新入社員教育のカリキュラムとすべきものばかり。つまり、それはマーケティングの基礎である。

〔第Ⅱ章 主体性の開発〕を双方に学習させた上で、先輩の年度目標管理表の項目(マーケティングまたはエリアマーケティングの目標)を達成するための1週間か10日間の小日程計画(ステップアップTODOリスト)を作らせ、その中で新入社員にマーケティングの具体作業を割り当てたり、メンテナンスしたりする責任をインストラクターに負わせることはできないかと考えた。

途中でインストラクターが一定レベルの指導を継続するのに困ったとき、あるいは真に実のある教育を求めたとき、3人のインストラクターが集まって、それぞれの新入社員を入れて計6人で「プロダクトマネジャー・マニュアル」の輪読会を始めてくれたらと思っている。そうすれば、ワークショップへと進むかもしれない。

(2010年7月度MODコラム「新入社員インストラクター・マニュアルについて」長井和久)より