マーケティングの大切さに気付くと、多くの企業は、今から我が社もマーケティングを本格的に学習し、実施して、優良企業(マーケティングカンパニー)になろうとする。このとき、大きな障害になるのが基礎力の不足である。

特に、ミドルマネジメントの基礎力の不足は、職場の主体性の開発および主体性の発揮の大障害になる。主体性の発揮とは、創造性の発揮である。部下社員のクリエイティブを阻害するミドルの存在は、マーケティング以前の問題になる。

ミドルのみならず、ロワーの基礎力の不足もまたダメージが大きい。リーダーの基礎力が不足すると、小集団による知的生産の活発化や集合天才振りの発揮は起きない。メンバーの知的協力は起きない。発生しない。

では、基礎力とは一体何であるのか。

それは、
1.マネジメントの基礎力(Plan→Do→Seeの力)
2.マーケティングの体系とノルムの力(マーケティング技能)(戦略構築力)
3.OD(組織開発)の体系とノルムの力(活性化力)(リーダーシップ)
4.現代経営実践理念の実践力(理性の力)(価値判断力)
5.22の思考技術の活用力(フィールドワーク力)(仮説発見力)
である。

例えば、代表的な思考技術である「目的-手段」「原因-結果」が解らなければ、
①会社方針、部門方針を職場におろした場合の職場の課題の形成が論理的にあいまいになるだろうし、
②職場のメンバーが気付いた問題点の原因を追及して、職場の真の課題を形成する会議も進行できないだろう。
③いわんや、①と②をすり合わせて、「職場の状況と目標の共有」→「職場目標達成の合意づくり」へのステップは踏み出せないだろう。

社員の主体性は、基礎力の上に構築される。基礎力が不足すれば自信のある言葉が出ない。自分の意見は言えない。しかし、自己流の思い込みや感想はある。印象はある。だから、もめる。

基礎力がないと、社員は個人としても知的生産が不発の毎日を送ることになる。暗い職場、暗い毎日になる。基礎力を身につけるには、個人も組織も、ガリ勉と厳しい訓練が必要である。

(2011年1月度MODコラム「基礎力と基礎訓練(上)」長井和久)より