「プロダクトマネジャー・マニュアル」は、マーケティングの基礎とマネジメントの基礎を結びつけて解説している。主に、製品開発+エリアマーケティングの各段階について、組織化・集中化・効率化の具体的な方法を14章に分けて整理したものである。

各章で、これはマーケティングやマネジメントとして動かない判断になる(基本認識になる)というところを太字(ゴシック体)にしたり、アンダーラインを引いて目立つようにしている。これらの基本認識は、チームや職場で共有すれば、仕事の生産性があがる。中でも会議の生産性は飛躍的に向上するだろう。しかし、一度このマニュアルを使わなくてもよいことにしてしまうと、このマニュアルに書かれている原理原則を何となく否定することになりかねない。

会社として改めて新しいマーケティングの原理原則集を編集し、その使い方を標準化するとなると、一生懸命取り組んだとしても、5~10年の時間と、4~5人の人件費および諸経費がかかる。少なくとも、5~6億円の予算がかかるだろう。

マーケティングとマネジメントの体系とノルムに正面から向き合うのは、正直言って、面倒で、しんどくて、やっかいな仕事と思うかもしれない。しかし、ここから逃げてしまうと企業も個人も大きなハンディキャップを負うことになる。

「プロダクトマネジャー・マニュアル」を側に置いて、ときどき取り出して見てほしい。マーケティングの基礎が次第にわかってくる。ちょっと読んでみて、ちょっと使ってみるのがよい。使っているうちに必ず全体を把握できる。ゆっくり、ゆっくりでよい。マニュアルを今の仕事に引き付けて、上手に利用してください。

(2011年8月度MODコラム「プロダクトマネジャー・マニュアルの上手な使い方」長井和久)より