ユーロ圏の通貨の安定はまだまだ先。アメリカの景気回復もしばらくは調整期間が続く。日本は少子高齢化、20年も続く大停滞(失われた20年)の中にある。大借金を抱える中での社会保障制度の確立、東日本大震災からの復興、エネルギー政策、消費税増税などの難問を解決していかねばならない。[2012年1月時点の認識]

まず、日本の内需を掘り起こし、続いてアジアの内需の拡大を具体的に実現するアクションが要る。アジアの経済成長が要る。内需の拡大と経済成長には、日本とアジアの中堅・中小企業の活性化が鍵になる。アジアの中堅・中小企業の発展を日本が主導する。

具体的に、何をするべきかといえば、それはこれらの企業の【マーケティングとOD(組織開発)をIT(情報技術)で高度化させる】ことである。これらの3つは掛け算になる。経営の質が一挙に変わる。アジアの経済活力が向上する。

日本にはもちろん、シンガポールにも韓国にも中国にも台湾にも、先行して進化している中堅・中小企業はある。モデル企業は実在する。これら成功企業のよいところを研究し、キャッチアップする活動を起こせればよい。まず、日本が先頭を切る。真面目にコツコツと洗い直し、組み合わせる。

日本は日本文化で勝負すべきだ。美しい日本の四季の変化と、おもてなしの精神を商品開発に注入する。「物の哀れ」や「侘び寂び」を季節の移ろいの中で感じ取る日本人の美意識のあふれる商品とサービスを開発するのだ。日本発のブランドを創る。日本人のこの繊細な感性は、世界各国に真似ができない。日本文化は、世界各国の中堅層から支持されている。彼らに呼びかけ、彼らをファンにする。美しくやさしい日本ブランドは欧米でも必ず売れる。

日本文化を基礎とする日本独自のマーケティングとODを花開かせるときにある。これを支えるIT(情報技術)をぜひ開発する。これに集中するときである。そして、これらの掛け算でアジアの中堅・中小企業をリードする。日本を素晴らしい癒しの国にする。日本をリーダーにする。

今、日本は絶好のチャンスを迎えている。日本文化を世界に発信する。積極的に。優雅に。

(2012年1月度MODコラム「日本発のマーケティング」長井和久)より