1.問題点(あるべき姿と現状のギャップ)の認識

まず事実に基づいて、あるべき姿と現状の差(ギャップ)を問題点として認識させねばならない。あるべき姿は、何故あるべきなのかを論理的にわからせておいてから、現状の問題を考えるという手順でよい。必ず、ひとつひとつ文章化する。データや事実で問題がわかるものは、ひとつひとつ明らかにする。解説する。

事実の収集をしたり、整理をしたり、分析をしたりする問題整理の取りかかりの段階から、部下を巻き込むワークショップ方式をとるほうが、部下の参画度を高め、部下に考えさせる(知恵を出させる)効果がある。教育の歩留まりはよくなる。OJTの効果は高い。

はじめは事実をどう捉えるか、問題点をどう数字や文章で書き表すか、というような初歩的な作業から解説(やってみせる)していかねばならない。論理的にわからないと、参画度は上がらない。問題を問題として捉えるため、「原因と結果」(何故を5回繰り返す)、「目的と手段」の関係を何度も何度も事例をあげて説明しながら、現場の問題点の把握に移る。あるべき姿を角度を変えながら教える。

2.問題点の本質の追求

問題点が列挙できれば、問題点の本質を追求する。一番重要な問題点は何かを追求させる。問題点の本質がわかれば、解決の方向が見えてくる。

3.実行計画(アクション計画)づくり

解決の方向が見えてくると、部下の頭は働き出す。どんな手があるか、どんな方法がよいか、ランダムでよいから知恵(アイディア)や意見を出させる。これらの対策(アイディア)を「目的と手段」の関係で整理する。実行できそうなものは、実行計画(アクション計画)を創る。

今は実行できない対策が見えてきたときは、リアルタイムでどうしたら実行できるようになるか、話し合わせる。彼らが答えに窮したときには、リーダーが標準的な解決手順を示してやる。リーダー自身が困ったときは、その課題はリーダー預かりにして、自分で研究したり、プロに相談したりして後日発表するのもよい。

「原因と結果の関係」「目的と手段の関係」を使って、あるいは部下の出したアイディアを使って問題解決に至るまでの大、中、小の課題を、例えばツリー状に整理して、位置と意味を理解させ、その課題の優先順位(着手順位)をつけて、ひとつひとつ解決に向かって堅実な一歩を踏み出させるのである。

※課題の明確化が態度を変える

取り組むべき課題が明確になれば、部下達は主体的に考え始める。どうやればその課題が解決できるか、自分のほうから情報を求めるようになる。聴く耳を持ってくる。リーダーが直接やってみせて、部下に真似をさせてよい。マーケティングの論理と感性(センス)を同時に伝えなければ、部下は育たない。動かない。マネジメントの論理と感性も同様に必要である。

途中、少しでも前向きな態度を示したり、知恵を出したりしたときは、その態度や発想をほめる。きちんとした手順を示し、参加させ、やらせてみて、ほめてやらねば、初歩的な停滞からは抜け出せない。立ち上げは実は大仕事なのである。

(2012年7月度MODコラム「初歩的な問題で停滞しているマーケティング部員をどう教育するか」長井和久)より