マーケと開発のメンバーが製品の開発についていろいろ話し合いの機会を持ったとしても、何についてどんな順番で話し合うか、はじめにリーダーが課題と手順やルールを明確に示しておかねば、ふつう話があっちへ行ったり、こっちへ行ったりして、知的生産にならない。それでも熱意を持って、話し合いを継続していると、それはそれで何とか着地はするが、本当によいものが出てくるかどうかはわからない。

「マーケと開発の知的生産の最大のアウトプットは、ブランド・ポジショニングの決定である。」このことは初めに互いに確認しておく必要がある。

  • y´点から話し合う

話し合いの一番初めは、y´点(ブランド・コンセプトは何にするのか、そのReason to Believeは何か)についての話し合いや検証の報告が中心になるべきであろう。y´が立たないと、x´もz´も切り出せない。
例えば、y´→A→Pに至るAコースの製品開発であっても、y´とz´を結合させる知恵を具体的に出してこそ(言葉にしてこそ)、A点を決める話し合いが可能になる。

  • プロダクトマネジャーがリードする

Aコースで行くのか、Bコースで行くのか、それともCコースかを決めるのは、やはりリーダーであるプロダクトマネジャーの責任である。切り口はどこから入ってもよいが、今どの「点」を話し合っているかは、絶えず確認しなければならない。

プロダクトマネジャーが「ブランド・ポジショニングの3次元設計図」の構造をよく知っていて、それを活用する技術にすぐれていることは、マーケ会議が有効になる基本的な条件である。

  • 全員が「ブランド・ポジショニング3次元設計図」を理解する

しかし、メンバーのマーケ部員、開発部員が、もしこの構造をよく知らなければ、リーダーの負担は増すし、会議の生産性は低いままになる。コンセプトにしろ、パーソナリティにしろ、なかなかまとまるものではない。

全員がこの地図を知っているとするなら、今はz´点についての論議なのか、A点なのか、P点に向かうにはどんなパッケージが要るか、広告コピーが要るか、それぞれが同じ方向で頭を使う。メンバーの頭脳の働きが共鳴し、あるとき集中するので、創造が起きる。短時間でよいアウトプットが出るのはこんなときだ。

マーケティング会議の参加者が、この「ブランド・ポジショニング3次元設計図」をよく理解し、共有しているなら、会議の知的生産性は、飛躍的に向上するだろう。

  • フィールドワークを土台にする

さらに言うなら、メンバー各位が常日頃から仮説発見のフィールドワークをよくしていて、つまり「ヒストリカル・レビュー」「売れる/売れない分析」や「ラフ商品企画書」などで重要な情報を整理して、これを持ち寄り、ブランド・ポジショニングの決定について知恵を出し合うならば、なお一層の知的生産が可能になるだろう。高度な知的生産になる。

(2012年9月度MODコラム「ブランド・ポジショニング3次元設計図の効用」長井和久)より

※プロダクトマネジャー・マニュアル<改訂版>に掲載している「ブランド・ポジショニング3次元設計図」の図表をご希望の方は、nahoko@nagaimktg.com までメールにてお申込みください。