1.トレンドの推考は「フレミングの法則」を両手で
以前は、左手も右手も「フレミングの法則」にして、頭上に掲げて螺旋状に回しながら、トレンドを手探りしていた。
左手の3本の指は「機能的→取扱い便利→感覚的→心理的」のベネフィット高度化の4段階をイメージして左巻きに、右手の3本の指は「ナチュラル→ヘルシー→ピュア→フレッシュ」の輪廻で右巻きに、頭の上でブンブンと回しながら、トレンドの芯を求めて、直観を働かせる。摺り合わせてピカッと光るところをP点(ポジショニング・ポイント)とした。
結構これで仕事をしたが、これを人に教えるのは容易ではない。部下に説明しても、なかなか理解してくれない。論理的に説明がつかないのである。これが悩みであった。36歳から65歳くらいは、これで済ませていた。自分一人のノウハウとして、やっていたようなものであった。
2.「ブランド・ポジショニング3次元設計図」の実戦的活用
y軸にブランド・コンセプト、z軸にブランド・パーソナリティ、x軸に製品カテゴリーをとって、3次元の世界をy´、z´、x´で正立方体にする。
y´とz´の交点をAとし、y´とx´の交点をBとし、x´とz´の交点をCとする。正立方体のA,B,Cの結ぶところをP点とし、P点をポジショニング・ポイント(ブランドの芯)とする。
A点経由でP点にいくラインをAコース/B点経由でP点にいくラインをBコース/C点経由でP点にいくラインをCコースと呼び、Aコースは改良開発型のアプローチ/Bコースは新製品開発のアプローチ/Cコースはパッケージ変更によるマイナーチェンジのアプローチとした。
これらのことについては、プロダクトマネジャー・マニュアル〔第Ⅵ章 製品開発の実際〕で詳しく図解し、解説している。
直観に頼るフレミングの螺旋によるトレンド予測からのポジショニングよりも、3次元設計図のほうが多分に論理的に説明しやすいし、理解されやすいので、今はこれをマニュアル化し、案内しているわけである。
A,B,Cを総括して、いきなりP点を狙う直観法もあるが、これができる人はほとんど天才に近い人のみである。無理にP点狙いをすると、的(P点)を外してしまうことがある。
一般には、地道にAコースの改良開発型のアプローチをお勧めしているが、中には何が何でも新製品だ、新事業開発だという人もおられる。得意なほうを極めればよい。
Cコースもなかなか捨てがたい。1年か1年半ブランド維持の時間稼ぎができるからである。この時間にしっかりAコースを登らせると、絶え間のないブランドの価値(ブランド・エクイティ)を確立することができる。これで粗方マーケティングの手口が説明できる。
この3次元設計図の発想とアプローチは、(株)ナガイマーケティング研究所の20年に及ぶ試行錯誤から生まれた全くのオリジナリティである。ご活用いただければ幸いである。
(2013年9月度MODコラム「トレンドとポジショニング・ポイントを発見する」長井和久)より