「マーケティングを導入したいのだが、どこから手をつけたらよいのかわからない」
「手法はわかるのだが、そもそもマーケティングそのものに上司や同僚が賛同してくれない」
「トップ、準トップが営業指向だ」
「我が社はプロダクト・アウト経営だ」
などの切実な声が寄せられ、マーケティング・マネジメントの必要性を痛感した。

「先進的な大企業向けのマーケティングではなく、我々、中堅・中小企業がどのようにマーケティングを導入していけばよいのか、それを教えてほしい」
「そもそも、マネジメントの基礎や科学的アプローチの方法から案内してほしい」
「即効性のあるマーケティングのテクニックを教えてほしい」
このような切実な問いかけや要望にお答えする形で、自分の経験を整理するとともに、コンサルティングを進めていった。

「マーケティングの手法を<知る><わかる>することは、それほど難しくないが、成果をあげ、会社の体質にするには、組織開発がどうしても必要だ」
「全社一丸となってマーケティングに向かわねば本当の成果はあがらない」
「マーケティングと組織開発は表裏一体である」
という現場体験をお話ししてきた。

「マーケティングの組織開発」というビッグプロジェクトに挑戦するには、①マーケティングの体系とノルムと②マネジメントの基礎および組織開発のしっかりした知識と実際的なマネジメント能力が要る。チェンジング・エージェントは先行して、これら2つの体系とノルムを身につけねばならない。

「どこから手をつけるか」と言えば、それは「製品開発の小集団活動から」である。並行してエリアマーケティングの小集団活動を進めると、途中から相乗効果が起き、その目覚しい成果によって会社の体質が変わる。

中堅・中小企業のマーケティング・マネジメントに関して、今までに勉強したことと、実際のコンサルティングで教わったこと、新しく気付いたことを結び付けて整理していった。そのまとめが、プロダクトマネジャー・マニュアル〔第Ⅰ章マーケティング組織の開発〕である。

(2009年11月度MODコラム「プロダクトマネジャー・マニュアル〔第Ⅰ章マーケティング組織の開発〕の最終校正を終えた」長井和久)より