リーダーは、膠着状態から1歩2歩抜け出す、局面打開の鍵となる考えや方法を打ち出さなければ、リーダーシップを問われる。「目標設定力」と「動機付け能力」がリーダーシップの本質である。
上司も「何とかしろ」とは言ってくるが、即問題解決に役立つ情報は示してくれない。彼自身も困っている。部下はじっとリーダーを見ている。指示を待っている。周囲もじっと見ている。誰も助けてはくれない。
「どこから手をつけるべきか」自分自身で考え出し、今日にでも、明日にでも、着手小局の構想を発表しなければならない。しかし、的外れなことを言ってしまったのでは能力を問われる。「どうしたらよいか」わからない。いろいろ調べても、もうひとつ自信が持てないが、現状のままで停まるわけにはいかない。リーダーはいつも、このようなしんどい局面に立たされる。
「着手小局」はどうしたらうまくいくか、局面打開の正攻法を考えてみたい。
「着手小局」とは、何を為すべきか、何から手をつければ問題解決はうまくいくか、その正しい着手点を見つけ出し、有意義な第一歩を踏み出すことである。会社の経営方針を自分の職場におろさねばならない。自分と部下の現状の能力に合う課題に翻訳しなければならない。そうしなければ着手できない。立ち上がりをスムーズにしたい。
会社の方針と上司の方針と自分の職場の現状にマッチし、なおかつ、新しい付加価値を創造する、その最も重要にして緊急の課題を設定できれば、誰も文句は言わない。
その課題解決の手順、つまり、半歩か1歩、有意義な前進するその一手の構想を説明できれば、事態は好転する。メンバーの納得と承認が要る。そのあと、具体的な手順、日程、仕事の割り振りを協議して決めれば、チームは前を向いて動き出す。
(2009年12月度MODコラム「局面打開(上)」長井和久)より