1.科学的アプローチより出発する

担当製品についてのマーケティングのフィールドワークより手をつける。
①ヒストリカルレビュー
②現場・現物分析〔売れる/売れない分析〕〔ストアチェック〕
③ヒアリング〔開発,営業,生産,購買〕〔卸店、重要小売店〕〔消費者(ヘビーユーザー)〕

まず、職場内でプロダクトマネジャー・マニュアル〔第Ⅴ章 製品開発の基礎〕P.Ⅴ-34~83までを輪読し、製品開発の基礎となる科学的アプローチの意義を共に理解する。方法についても「知る」「わかる」する。

我が社、我が職場では今、何から手をつけたらよいか、その課題を出し合い、絞り込む。何からであれば、我々にも実施可能であるかを話し合う。着手点と具体的な作業のすすめ方を協議して決める。

ストアチェックから出発するときは、〔第Ⅳ章 ストアチェック〕を輪読し、ストアチェックの意義と方法を共有し、ストアチェック実施までの手順を計画する。我が社、我が製品についての妥当なチェック項目を決める。ストアチェック票を共同作成する。

ヒアリングから開始するなら、①棚前インタビューの項目、②友人・知人へのヒアリング項目、③店頭観察のポイントをワークショップで導き出す。実査票を設計する。

2.「製品開発システム」を共有する

本格的なマーケティングを正攻法で開始しなければ、例えばその製品のリニューアルの問題を解決できないというような大きな課題に直面したときには、〔第Ⅵ章 製品開発の実際〕P.Ⅵ-10・11 図表Ⅵ-4「製品開発システム」を職場内で輪読・共有することから始めねばならない。

何のために何をするか、ゴールはどこかを体系的に論理的に把握していないと、チーム内の話し合いはいろいろな方向に流れてしまう。製品開発(マーケティング)の体系とノルム(原理原則とその応用の方法)を、職場をあげて学ぶことが基本になる。

本格的なマーケティングをやる以外に、我が社の製品開発(マーケティング)の諸問題が解決できないことくらいは、程度の差こそあれ誰もが最初から知っている。

これに正面から応答していくのが、製品開発(マーケティング)の職場開発である。この製品開発(マーケティング)について責任を持つリーダーの任務である。この壁を破る会社がマーケティングカンパニーへの道を切り開く。実務でこの壁を破る会社(チーム)が勝利に向かって前進できる。

3.着手小局の「ステップアップTODOリスト」をつくる

「製品開発システム」に照らしてみて、全体の問題を解決していくラフ・スケジュールについて、65点から70点くらいの構想ができてきたと思えるときには、すかさず着手小局の「ステップアップTODOリスト」をチームで作成するのがよい。初めから90点以上の計画を求めると、素人集団では必ずと言ってよい程、途中で頓挫する。初回の「ステップアップTODOリスト」とその次のテーマ、その次の次のテーマが共有できるときは、チームはたいへん調子がよいと思ってよい。

「ステップアップTODOリスト」(〔第Ⅱ章 主体性の開発〕P.Ⅱ-75 図表Ⅱ-24)は、小集団で製品開発(本格的なマーケティング)を進めていく、着手小局の小日程計画表である。「製品開発システム」の流れに沿って、今回はどの位置で、どのようなテーマに、どのように取り組むか、どのような手順でこの小局を克服していくかの目的、目標、方針、手段、方法をワンシートで書き表すことのできる帳票である。(P.Ⅱ-82 図表Ⅱ-26)

製品開発のどこから、例えば「売れる/売れない分析」から、出発しなければならないと気付く人は多いが、ではその出発点、つまり着手小局の課題を解決していくコミュニケーションを含めた手順を具体的に書き表すことのできる人はなかなかいない。頭ではわかっていても、今週とかこの10日間で何から手をつけて、どこまで駒を進めるかを明らかにしていくのは、やはり上級のマネジメントになる。

(2009年12月度MODコラム「局面打開(中)」長井和久)より